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「宮さんのピアノ調律史」を読む。

「宮さんのピアノ調律史 ピアノ調律一筋に歩んだ70年間の記録」宇都宮信一著 東京音楽社刊を読む。

以前読んだ「田中希代子 夜明けのピアニスト」萩谷由喜子著 ショパン刊と併せて、日本におけるピアノ史
のいくらかを、素人ながらに垣間見たような感慨を得ました。

一章 生い立ちの記
二章 「松本ピアノ」修業時代
三章 関東大震災および独立前後
四章 <四季・ユートピアノ>余録
五章 ピアノ調律あれこれ親子談義

以上の五章から成り立っていまする。
宇都宮信一氏が語り、それを誠一氏がテープ起こしをした、信一氏の言うところの「語りの書」、こういった経緯もあるのでしょうか。
特に、
一章 生い立ちの記
二章 「松本ピアノ」修業時代
などは、当時の帝釈天 下町界隈の様子が幻視される。まるで、その場に自分自身が居ているようにして楽しむことできる文体です。
幻燈や弁士の入る映画を語る信一氏の言葉から、幻視する情景が、さらに音を生みだし、私の知らないはずの時代と場所を楽しませてくれます。
そして、三章へ移り、調律をたつきに関東大震災、戦争という動乱を生き抜いてきた一人の人間の人生、そして、また信一氏の職人としての生き様は「職人衆昔ばなし」斎藤隆介著にも繋がる職人気質の心地よさを思わせます。

P104
いずれにしてもそんなわけで、わたくしの「調律」の勉強は、文字通りの独学でした。それだけに時間はずいぶんとかかりましたけど、また時間をかけただけに、絶対に他人には劣らないだけの自信も培われたものと信じております。
それにつけても、あの当時の何年間か、みんなが寝静まった真夜中にひとり起きていて、よくもひたむきに「調律」の勉強をしたものだと、


四章 <四季・ユートピアノ>余録 では、思わず笑いながら読んでしまいましたが、信一氏の飄々とした威風と、ひょうきんさを思わせます。
内容の詳しくは、微音空間 いただきもの資料サイトをご覧くださいませ。

五章 ピアノ調律あれこれ親子談義 では、宇都宮信一氏と誠一氏の対談が繰り広げられています。
「調律終了の合図のなつかしき音」を読んで、ふとドラマの一場面を思い出します。
A子が調律の終わりに演奏する情景です。

最後に
宇都宮誠一氏から戴いたこの本は、私にとって、とても大切な宝物でございます。
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