(1980.11「NHKグラフ」映画評論家・飯島正の評より抜粋引用)

…この作品のイメージはきわだってうつくしい。それは四季の自然と人間生活をうつしているが、じっと見つめていると、それが女主人公の音(おん)の生活のイメージ化であることに気づく。いや、それは森羅万象のリズムにそうものだということをやがて知る。

 どうしてこのような芸術的表現が可能だったかと考えると、彼女が海辺でひろった音叉(おんさ)の音をきくように作者佐々木昭一郎も彼女の耳の位置から全てを見、すべてを聞いたからだ。
いいかえればカメラが彼女の顔にあったのだ。そこから音(おん)とイメージのぬきさしならない“共生”が生まれた。彼女と馬のいる画面を見て、ぼくがそこに生きものの心臓の鼓動を感じたのもそのためだ。…後略