当日、配布されたプログラムをテキスト化しました。
なおプログラム中にあります「竿」は「う」と読みます。

森美術館 2002.3.31



春の音・色
プログラム




・平調調子(ひょうじょうのちょうし) 平調は白を象徴する調子です。雅楽古典曲の中に、笙の独奏曲というのは存在しないことになっていますが、唯一、調子は舞人登場時の前奏曲。今日は二人で響き合います。

書簡 『茶の本』をたたえて (プリヤンバダより岡倉天心へ) 1912.10月1日
奥様 (岡倉天心よりプリヤンバダへ) 1912.12月3日
奥様 (岡倉天心よりプリヤンバダへ) 1913.3月4日
春の微風 (プリヤンバダ)




・双調調子(そうじょうのちょうし)双調は青を象徴する調子です。萌えいづる春の響きを感じてください。

書簡 たそがれの漂いくる芳香なる人に (プリヤンバダへ) 1913.5月4日
名前なき名の君なる人に (プリヤンバダへ) 1913.5月8日
親しい友に (岡倉天心へ) 1913.6月4日




・星の輪(ほしのわ)一柳慧作曲。1983年笙の独奏のために書かれた初めての曲です。笙の音を星の運行になぞらえています。

書簡 新しい友に (岡倉天心へ) 1913.7月9日





・滄海(うみ)宮田まゆみ作曲。笙の倍の大きさ竿という楽器で演奏します。竿は奈良時代に伝わりましたが平安時代初期には奏法も楽器も絶えてしまいました。正倉院には笙と竿が三体づつ伝わっています。1000年の時を越えて復元された楽器です。
笙の響きは天体・光の様ですが、竿の響きは、静かで低く、仙人の棲む海底に深く沈みこんでゆくようです。




「書簡」1912年8月14日岡倉天心はボストン美術館に向かう途中で立ち寄ったインドで詩人プリヤンバダ・デービーと出会った。それから約一年、岡倉没するまでの往復書簡。(『宝石の声なる人に』大岡信編 平凡社刊)


田島和枝「むすびひめ」HPアドレス http://www06.u-page.so-net.ne.jp/yd5/kanako/

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